おばあちゃんという名前ではありません

夕方、近所のミスドで読書をしていたが全然集中できなかったのでちょっくら出かけるか、と思って三宮に行くことにした。

ジュンク堂で『i-D』の女性クリエイター特集号が発売になっていたので購入。ぱらぱらとしか読んでいないがあっこゴリラさんのエッセイが良かった。彼女の高齢の祖母がデイサービスに行くのを嫌がり、介護士から「おばあちゃん!」と呼びかけられた際「わたしの名前はサオリです。おばあちゃんという名前ではありません」と反論する場面が冒頭に描かれていた。

わたしも自分の祖父母を病院に連れて行くときなどに、病院の職員たちの高齢者に接する態度を見て、サオリさんと似たような思いを感じることはよくある。一人の人間として接する、というよりも「老人を扱う」とき用のモード、みたいなものが彼らからどうしても透けて見える時があって、なんとも言えない気持ちになったりするのだけれど、同時に、そうならざるをえない気持ちもわかるような気もして、結局は沈黙してしまっている。

 

本を買ったあと、三宮の天一軒という中華料理屋へ行った。焼きそば(中華風)と餃子、それとビールを一杯だけ飲んだ。ここは安定していつも美味しい。その後、まだ帰る気にならなかったので、向かいにあるサイゼリヤに行って、100円のグラスワインでもう少し粘ることにした。

サイゼリヤには数ヶ月に一度更新される子供向けの「間違い探し」の可愛らしいイラストがメニューと一緒に机に置かれている。この間違い探しが、毎回「これ絶対に子供じゃ解けないだろう」というレベルの難しさで、いつもサイゼリヤに行くと意地になってやってしまう。

100円のグラスワインで顔を真赤にしながら、この日も必死に間違い探しをした。ようやく全ての間違いを発見した時に時計を見ると15分近くもかかっていた。

帰り道、台風が近づいている影響なのか、突然強い雨に降られて靴がビチョビチョになって帰った。

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台風とバッタ

今日のニュースは朝から晩まで、現在日本に接近中の台風のことばかりだった。

本格的に上陸する明日、明後日はもっと台風のことでニュースは持ち切りかもしれない。

地震は不意打ちで突然やってくるけれど、台風はやってくるのがわかっている。

天災が差し迫ってくるのを待ち構えるというのは、なんど経験しても奇妙な感じがする。

アフリカとかで大量発生したバッタの大群が押し寄せてくる時など、似たような感覚なのだろうか。

わたしはバッタの大群に押し寄せられたことがないので、いまいち想像ができない部分もあるが、発生しているのが分かっているのに、結局人間は「座して待つのみ」という意味で台風と似ているんじゃないか……と思ったけれどどうなのだろう。違うか。

まぁでも、アフリカには台風は存在しないらしいから、向こうの人々も遠く離れたアジアで発生する「台風」のことを頭では理解できても、実際の台風やその被害がどんなものかまではなかなか想像が難しいだろう。

なんの話をしたいのか自分でもよくわからなくなってきたが、思いを馳せることが大事なのではないか、というようなことを書きたかった気がする。

週末、台風の被害があまり出なければいいのだけど。

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ネットピラティス

先月、近所にサーキットトレーニング専門のジムが出来た。

速攻で体験クラスに参加して、トレーナーの方とも意気投合して「これは入会するしかない、近所にええのできたわ!」と息巻いていたのだけれど、相変わらず金がないものだから、入会金やら最初の月謝やらのまとまった金を用意できず、結局いまだに入会できずにいる。

体を鍛えたいがために生活が困窮してしまったら元も子もないないではないか、と自らを納得させていたのだけれど、こないだYouTubeで若い20歳くらいのラッパーのMVをダラダラと見ていたら『金がねぇとか言うなよクソボケハゲ〜』と痛快に歌っていて、思わずわたしはそうだよなぁ、と心底思ってしまった。

なぜならこのわたしが「金がない」という発言ばかりここ数年していたからである。無理して格好つける必要はないと思うんだけども、かといって金がないとばかり発言して周りに気を遣わせるような人間もどうかと思う。まぁ、実際はわたしの周りもお金を持っている人はあんまりいないのだけれど、ラッパーくらいはたとえ虚勢だったとしても金に困ってない感じでエラそうにしていてほしい。

 

だが、そうは言ってもわたしがお金がないのは歴然たる事実なので結局ジムには入会できないのである。ほなどないしたらええねん、と言うことでここで再びYouTubeの出番とあいなった。今の時代たいていのことはYouTubeを見れば解決するのだ。この日はYouTubeピラティスの動画を見ながら部屋で一人で小一時間トレーニングをした。ipad上でこちらを必死に鼓舞してくれる白人男性の動きを真似ていたら、最後の方は汗だくになってしまった。実は去年もピラティスにハマった時期があって結構効果があった。なんとかまた習慣化させたいと思う。目標は年末までにマイナス5キロ。

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クリームメロンソーダ

ネットで話題になった料理レシピを試してみるのは楽しい。

ピエンロー鍋、鶏ハム、豆腐ぶっかけ丼、塩麹、水漬けパスタ……まだまだあるだろうが、結構作っていると思う。

 いちどレシピがバズると、流行り廃りはあるにしても、その後の日本の食文化に多少なりとも組み込まれるわけで、これはなんとも不思議な感じがする。

今回、試したのはレシピと呼ぶには簡単過ぎるのだが、家ではあまり飲まないというより飲めない、ちょっと珍しい飲み物だ。

なにを作ったかと言うと、見たまんまですが、クリームメロンソーダです。ただし、アルコール入り。

作り方はサントリーからこの夏、期間限定で販売された『ほろよい』のメロンサワー味と適当なバニラアイスを混ぜるだけ。

ネットで話題になったのも少し前なので、今さら感はあるが美味しかった。

 家で緑色の液体を飲むだけで意外とテンションが上がるということを実感できる。

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次は来年

世界平和大観音像

秘宝館だとか廃墟だとか、いわゆる「珍スポット」と呼ばれる場所がある。

わたしはそういった所に積極的に出向く方ではないけれども、こちらから出向かずとも、否が応でも向こうから出迎えてくれる珍スポットが淡路島にはある。

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この日わたしは、元刑務官の友人と風呂(温泉or銭湯)でも行くか、ということで夕方から淡路島に向かっていた。といっても、わたしは友人の車の助手席に座っていただけだが。

この友人(以下、元刑務官とする)とは中学以来の付き合いであるが、とりたてて共通の趣味や話題はない。だが、お互い「強烈な風呂好き」という一点のみで二人の関係は続いており、月に一度はどこかの風呂に一緒に行っている。

会うと毎回「ゴルフどう?」「パチンコ勝ってる?」という、およそわたしの人生と縁のないものについての調子を伺うのが毎回のおきまりで、このやりとりを車内で交わしている内に大体気づくと風呂に到着する。そうすれば、あとは各自好きに入浴し、満足したら適当なところで切り上げて帰る、というのをもう十数年以上はやっている。

そんな元刑務官と「今日は久しぶりに軽く遠征してみるか」ということになり淡路島にあるスーパー銭湯に向かった。明石海峡大橋を渡るのも久々だ。

途中、淡路サービスエリアに立ち寄った。ここにはなぜか巨大な観覧車がある。神戸側からも、この観覧車が煌々と光っているのが夜になるとよく見える。神戸の人間なら一度は見たことがあるのではないだろうか。

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ほんの数分の間に空の色が刻一刻と変化していた

 

観覧車を眺めながら「いつも遠くから見てるけど、ようやく間近で見れたわ……」と思わずわたしが漏らすと、即座に「十年くらい前にも一緒に来たことあるぞ」と訂正するかのように元刑務官が言った。いくら思い出そうとしても、全く記憶になかったが、この元刑務官は異常に記憶力が良いのでおそらく間違っていないはずだ。

そのかわりと言ってはなんだが、サービスエリアを出発したところで、わたしは急に観音のことを思い出した。観音のことが急に頭に浮かぶなんて、熱心な仏教徒かなにかかと思われるかもしれないが、全くそんなことはなく、単純に「あの」観音のことを思い出したのだ。そう、淡路島にはとても有名な、一度でも目にすると一生忘れることのできない観音像がある。

そうだ、わたしは10年前にも元刑務官と一緒に淡路まで観音像を見に来たのだった。

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冒頭にも書いたように、本来「珍スポット」とは明確な意志をもって向かうところである。秘境だとか秘宝館だとか、とにかく秘密めいているからこそ、珍スポットであり、人々を惹き付けるのだ。だがこの淡路島の珍スポットは、秘密めいてもいないし、もはやスポットでもない。なんせ100m以上もある観音像が道沿いに立っているのだ。その名も「世界平和大観音像」。

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勢い余って通り過ぎてしまったので戻る

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この観音が作られた経緯や裏話などは、検索すればいくらでも出てくるのでここではしない。確実に言えるのは、およそ40年前に建造されたこの100メートル級の観音像は、現在所有者不在であるということと、淡路市としても様々な理由により手を出すことが出来ず、放置されたままになっており、荒廃する一方だということである。

(観音の左手首付近の一部黒くなっている部分は数年前の台風で損傷した箇所とされる)。

いわゆる珍スポットの多くは存続が危ぶまれていることも多い。後継者不足だとか老朽化による取り壊しだとか、そういうようなあれである。

しかし、言葉は悪いが、たとえば地方の秘宝館が閉館したり取り壊されたりしても、一部のファンや関係者を除けば困る人はそこまで多くないだろう。だが、こちらは100メートル級の観音像である。そんなものがだんだんとリアルタイムで老朽化が進んでいる上に、かといって取り壊すこともできないのである。

観音像の周辺には住居やお店などもある。近所にゴミ屋敷があっても困るだろうが、誰も管理していない100メートル級の観音像が近所にあるのもたまったもんじゃないだろう。

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わたしが中学生の頃に明石海峡大橋が完成するまでは、神戸から淡路島に行くにはフェリーに乗るしかなかった。小学生の頃はじめてフェリーに乗って淡路島に行ったときは、特産品でもある玉ねぎが島中いたるところに干してあって衝撃を受けたのをよく覚えている。神戸で海沿いを歩けばいつでも望める島であるはずなのに、近くて遠いような存在が淡路島だった。

今、車で淡路島を走ってみると、島中いたるところソーラーパネルでいっぱいだ。橋の開通にともない、島を訪れる人の数も増えた。フェリーもいつの間にか利用者減少による収支悪化で廃止になった。わたしが訪れたことすらすっかり忘れていたあのビカビカとした観覧車も、十年ほど前にとつぜん、さも昔からあったかのようにできていた。

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先ほど、わたしはこの観音像と比べると秘宝館がつぶれてもたいした影響はない、と書いた。

本当はわたしも、なにかが無くなる、失われるということが、そんな単純なことではないのを知っている。(本当は秘宝館も大好きだ)。

珍スポットに限らず、現在多くの古い建物や地域が取り壊されたり、再開発されたりしている。それは神戸に限らず日本中どこでもそうだろう。

わたしもそういう流れに対して、うんざりするような気持ちや、寂しさを覚えたりもする。だけれどその一方で、もうそれは止められないものとして、どこか諦めている部分もあるのも事実だ。

だが、この世界平和大観音像を前にすると、そういった安易にセンチメンタルに流されそうになる郷愁もあっさりと吹っ飛んでしまう。

なぜなら、たとえ老朽化が進んでいようと、あまりにも頑然と観音像はそこに屹立しているからだ。

明石海峡大橋の開通によって島は大きな変化を迎えたが、観音像は橋の開通前も開通後も、相も変わらずここに40年間立ち続けている。

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ひょっとしたら、観音像を訪れたのがもう日も暮れた夜だったから余計にそう思ったのかもしれない。

夜の闇が都合の悪いところを全部覆い尽くしてしまったからかもしれない。

明るいときに見たら印象はまた違うのかもしれない。

 

だが、この日のわたしには、相変わらず巨大で、10年前のあの日となんら変わらない観音像に見えた。

ただただ、直すことも壊すことも出来ないという圧倒的現実だけがそこにあった。 

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咲くやこの花館

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大阪は鶴見緑地にある『咲くやこの花館』に行った。

数年ぶりに訪れたのだが、館内の展示は相変わらず素晴らしかった。先日の台風の影響でいくつか通れないルートがあったが、迂回すれば一応だいたいは見て回ることができた。

今は食虫植物の特集をやっているようで、ウツボカズラがこれでもかというくらいいたるところに展示されている。

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他の食虫植物はだいたい見たことあるものが多かったが、私はコブラリリーという食虫植物が特に気に入った。

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見た目も名前も良い。コブラの舌のようになっているところに口が空いていて、そこから虫をおびき寄せる。ちょうどコブラの頭に当たる部分がうっすらと透けていて、光をよく通すものだから内部に迷い込んだ虫はそこから脱出できると勘違いして、何度もそちらに向かって飛ぶ。だが、当然そこから脱出することはできず、天井に頭をぶつける、ということを繰り返すうちに次第に弱って死んでしまうらしい。

ところで私は自宅でハエトリソウを二年くらい前から育てているのだけれど、今年なんと花が咲いた。ひょろひょろと一本の茎だけがやたらと伸びてきたと思ったら、突然その先端で花が咲いたので不思議だなぁ、と思っていたのだが、植物園の方の話を聞いてその謎が解けた。

なんでも食虫植物は受粉作業を手伝ってくれる虫を誤って捕食しないように、花の部分は捕食部位から離れるように伸びるそうである。なるほどなーと思った。

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これは植物園のハエトリソウ。銀蝿が休んでいた。

植物園から出るともう日が暮れかけていたので「今日はもうええか」と思ってしまい氷結ストロングを飲んだ。あっという間に酩酊してしまい、フラフラ歩いている内にどうしても大阪スパイスカレーを食べたくなってしまったので、色々と探しまわったのだが、どういうわけか三軒連続で臨時休業であった。定休日ならまだしも臨時休業ってなんやねん……というやり切れなさと、歩き疲れたせいで、酔いもすっかり吹っ飛んでしまった。

意地でもカレーを食いたかったので、血眼になってググっている内に阿波座スリランカカレーの『AMAYA』という店を見つけたので、行ってみるとここがすこぶる良かった。おそらくスリランカ人と思われる店員さん達だけで店は切り盛りされていたのだけれど、流暢な日本語でスリランカカレーについて熱心に解説してくれて楽しかった。

調子に乗って「死ぬほど辛くしてください」とお願いしたところ、翌日おなかとおしりが大変なことになった。

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個人的に日本一大きいのではないかと踏んでいる入口横のビカクシダ

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ヒマラヤの青いケシの花「メコノプシス」。一年中見ることができるのは咲くやこの花館だけ。